道具

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ただ在るものが語ること━

少し前に、ある道具たちを譲り受けた。
けれど正直なところ――
それが何のためのものなのか、よく分かっていない。

革細工、だっただろうか。
そんな記憶が、かすかに浮かぶ程度で。

もちろん、僕は使ったこともない。
手順も、意味も、まだ知らないままだ。

それでも――
なぜか、こころは惹かれてしまう。

使い古された道具というのは、いつだってそうだね。
ただ触れるだけで、静かに“誰かの時間”を伝えてくる。

幾度も握られた持ち手。
擦れた跡はやわらかく、
角は削れ、手に寄り添うように丸みを帯びている。

それはまるで、
長い年月をかけて育まれた“かたち”のようで。

この道具は、どんなふうに使われてきたのだろう。
どんな想いが、その手に宿っていたのだろう。

想像は、いくつでも生まれる。
けれど、そのどれも確かめる術はない。

握ったときに感じる、この温もり。

それが、かつての持ち主の名残なのか。
それとも、今ここにいる僕の体温なのか。

きっと――どちらでもあり、どちらでもないのだろうね。

そこに、答えはない。

けれど。

ただそこに在る。
ただ、それだけでいい。

この道具たちは、語りすぎない。
だからこそ、こちらのこころがそっと映り込む。

そういうものに、僕はどうしようもなく惹かれてしまうんだ。

撮影:D5300

 

Tools

Some time ago, I was given a set of tools.
To be honest, I don’t really know what they were meant for.

Leatherwork, perhaps.
That faint memory is all that comes to mind.

Of course, I’ve never used them.
I don’t know the process, nor their true purpose.

And yet—
for some reason, I find myself drawn to them.

Worn tools are always like this.
Simply by touching them, you can feel
the quiet presence of the one who once used them.

Handles shaped by countless grips.
The softened traces of wear,
edges worn down into gentle curves
that fit naturally in the hand.

As if—
they have been patiently shaped over time
into the form they were meant to be.

How were these tools used, I wonder?
What kind of thoughts lived in the hands that held them?

So many images come to mind.
And yet, none can ever be confirmed.

This warmth I feel when I hold them—

does it belong to the one who once held them?
Or is it simply my own warmth, here and now?

Perhaps—
it is both, and neither at all.

There is no answer.

And yet.

They are simply here.
And that is enough.

These tools do not speak too much.
And because of that,
they quietly reflect whatever rests within my own heart.

That, I think,
is why I cannot help but be drawn to them.

すべてのこころへ、届くように。
想いを込めて、装心具をつくっています。

誰もが、それぞれの物語を持っている。
身に着けることは、
忘れたくない想いに、そっと触れ続けること。

Spring-of-Heartを、
あなたの物語に――
そっと、添えていただけたら嬉しいです。

そしてもし、よければ。
この装心具たちが生まれるまでの“想い”にも、
少しだけ耳を傾けてみてください。

日々、こころと技を磨きながら、
ひとつひとつ、丁寧にかたちにしています。

――どうぞ、よろしくお願いいたします。

お手入れなどに関して→【100年200年と受け継がれるもの

これは”ひとつのきっかけ”にすぎない

ここから先は身に着ける

あなたの物語へと繋がってゆく・・・

in your heart

jewelry & accessories

Spring-of-Heart

装心具のご購入、不明な点は
info@spring-of-heart.comまでお問合せ下さい。

▶【案内人の休息】
土日や祝祭日は、案内人も筆を置き、
装心具の書庫は静かに扉を閉じております。

この間に頂いたお手紙(お問合せ)や
ご注文への返信は、扉が開く月曜日より
順次行わせていただきます。

静かな夜を過ごすように、
どうぞゆっくりとお待ちくださいませ。

愛知・春日井の地にひっそりと佇む、
アトリエ「Spring-of-Heart/こころのはる」。

ここでは――
遠い未来、3000年後にも語られるような
物語と想いを宿した装心具が、今日も生まれています。

投稿者: こころのはる

✦装心録 ― Spring-of-Heartのこころ日記✦ こころへ届ける jewelry & accessories Spring-of-Heartの装心録(Heart-diary)へようこそ。 Spring-of-Heartのモチーフは “こころ”。 日々の暮らしの中で出会う出来事、胸に灯る想い── それらをカタチに変える旅を、僕らは続けています。 その想いは、行動となり、カタチとなり、 やがて誰かのこころへと届く。 装心具を身につけるすべての人たちが、 新たな一歩を踏み出し、 笑顔に包まれる日々を過ごせますように。 僕らはその願いを“ひとつの想い”として、 ひとつひとつの装心具に託しています。 装心具たちは── 灯の下で生まれた、こころの欠片たち。 どうぞ、ご覧ください。

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