触れたくなるかたちへ

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先日、ひとつの彫刻機を手に入れた。
指環の内側に、言葉を刻むための道具。

長い時間を越えてきたその姿は、
どこか無口で、それでいて多くを語っていた。

くすみ、剥がれ、使い込まれた痕跡。
それはきっと、数えきれないほどの想いに触れてきた証。

けれど――

ツマミは欠け、
レバーには少しガタがきていた。

少しだけ、不器用な佇まい。
長い旅の疲れが、そこに残っていた。

 

出会ったばかりの姿。

まだ距離のある、
どこか“借りもの”のような感触。

だけど、思ったんだ。

もっと触れたくなる存在にしたい。
もっと、この道具を好きになりたい。

ここは、この彫刻機が辿り着いた場所。
そして同時に――
これからを刻みはじめる場所だから。

用意したのは、小さなパーツ。

ほんの少し手を加えて、
レバーのノブとツマミを取り替える。

それだけのことなのに、
触れた瞬間の感触が、まるで違った。

今の姿。

少しだけ、呼吸が合う。
少しだけ、こちらを向いてくれる。

うん、いい感じだ。

道具はきっと、使う人と一緒に変わっていく。
そしてその変化は、また次の誰かへと受け継がれていく。

この彫刻機もまた、ここから刻んでいく。

新しい言葉を。
新しい想いを。

――ますます、好きになった。

撮影D5300

 

The other day, I came across an engraving machine—
a tool made to carve words into the inside of rings.

It had clearly lived a long life.
Quiet in its presence, and yet, it spoke of so much.

The dullness, the peeling paint, the marks of use—
they must be traces of countless feelings it had once held.

And yet—

The knob was chipped,
and the lever had a slight wobble.

There was something a little awkward about its stance,
as if the fatigue of a long journey still lingered within it.

This was how it looked when we first met.

There was still a distance between us,
a feeling as though it didn’t quite belong to me yet.

But I found myself thinking—

I want to make it something I long to touch.
I want to grow to love this tool even more.

This place is where it has finally arrived—
and at the same time,
where it will begin to carve its next story.

So I prepared a small set of parts.

With just a slight adjustment,
I replaced the lever knob and the dial.

Such a small change—
and yet, the feeling when I touched it was completely different.

This is how it looks now.

Just a little more in sync.
Just a little more turned toward me.

Yeah… this feels right.

Tools, I think, change together with the hands that use them.
And those changes are passed on, from one person to the next.

This engraving machine will go on carving from here.

New words.
New feelings.

—I’ve come to love it even more.

すべてのこころへ、届くように。
想いを込めて、装心具をつくっています。

誰もが、それぞれの物語を持っている。
身に着けることは、
忘れたくない想いに、そっと触れ続けること。

Spring-of-Heartを、
あなたの物語に――
そっと、添えていただけたら嬉しいです。

そしてもし、よければ。
この装心具たちが生まれるまでの“想い”にも、
少しだけ耳を傾けてみてください。

日々、こころと技を磨きながら、
ひとつひとつ、丁寧にかたちにしています。

――どうぞ、よろしくお願いいたします。

お手入れなどに関して→【100年200年と受け継がれるもの

これは”ひとつのきっかけ”にすぎない

ここから先は身に着ける

あなたの物語へと繋がってゆく・・・

in your heart

jewelry & accessories

Spring-of-Heart

装心具のご購入、不明な点は
info@spring-of-heart.comまでお問合せ下さい。

▶【案内人の休息】
土日や祝祭日は、案内人も筆を置き、
装心具の書庫は静かに扉を閉じております。

この間に頂いたお手紙(お問合せ)や
ご注文への返信は、扉が開く月曜日より
順次行わせていただきます。

静かな夜を過ごすように、
どうぞゆっくりとお待ちくださいませ。

愛知・春日井の地にひっそりと佇む、
アトリエ「Spring-of-Heart/こころのはる」。

ここでは――
遠い未来、3000年後にも語られるような
物語と想いを宿した装心具が、今日も生まれています。

投稿者: こころのはる

✦装心録 ― Spring-of-Heartのこころ日記✦ こころへ届ける jewelry & accessories Spring-of-Heartの装心録(Heart-diary)へようこそ。 Spring-of-Heartのモチーフは “こころ”。 日々の暮らしの中で出会う出来事、胸に灯る想い── それらをカタチに変える旅を、僕らは続けています。 その想いは、行動となり、カタチとなり、 やがて誰かのこころへと届く。 装心具を身につけるすべての人たちが、 新たな一歩を踏み出し、 笑顔に包まれる日々を過ごせますように。 僕らはその願いを“ひとつの想い”として、 ひとつひとつの装心具に託しています。 装心具たちは── 灯の下で生まれた、こころの欠片たち。 どうぞ、ご覧ください。

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